Selected Publications
書 籍:
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単著 『儀礼のセミオティクス:メラネシア・フィジーにおける神話/詩的テクストの言語人類学的研究』 三元社 (2017)
[概要]
メラネシア・フィジーにおいて30年ぶりに開催された最高首長の就任儀礼。そして植民地期以来、 土地(vanua)と社会集団の所有関係を規定してきた公文書。この2つの詩的テクストの記号論的つながり―meta-pragmatics―を、儀礼的発話や神話的語りの記述分析を通して詳らかにする言語人類学的エスノグラフィ。
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共編 『翻訳とはなにか:記号論と翻訳論の地平―あるいは、世界を多様化する変換過程について』 三元社 (2022)
[概要]
翻訳とは、ある言語で言われたことを別の言語で言い換える、ただ、それだけのことなのか。近現代の翻訳を問い直し、その背後にナショナリズム、言語純粋主義、標準語中心主義などのイデオロギーを見出すことにより、方言、語用、相互行為などを含む、社会文化的なコミュニケーションの地平で翻訳―言語間翻訳、言語内翻訳、そして記号間翻訳―その全体を捉える枠組みを提示する。すなわち、本書は、翻訳を、社会文化空間の中で生起するコミュニケーションという出来事とその連鎖が織り出す記号過程として描くことをとおして、今日の翻訳および現代翻訳研究の全体像を解き明かす。
[書評] 『歴史的な行為としての翻訳の意義に迫る―言語は体系ではない。出来事である』 (柿木伸之先生)
[目次] [序] [1章:導入] [1章1節1項:翻訳研究における等価性]
[1章4節:ユージン・ナイダの聖書翻訳論] [1章6節1項:エスノポエティクスの翻訳論]
[2章1節1項:テルアビブ学派:翻訳規範論とポリ・システム理論] [2章2節2項:ことばの巣とハワイ語復興運動]
[2章4節4項:スラヴ語圏における聖なる(書物の)文字としてのキリル文字とその地政史]
[3章1節2項:ゲーテの翻訳論からベンヤミンの純粋言語へ] [3章5節1項:ココリーチェと南アメリカのイタリア移民]
....このベンヤミンによるマルクス主義の言語論においては、インフォーマルな日常言語、パラタクシスによって特徴づけられる日々のことばの詩的性格が、逐語訳の示す断片性=破壊性、歴史の瓦礫の堆積、それらと親和的に結びつき、やがては瞬きの内に、つまり一瞬、この世の瓦礫が真理=普遍言語を指し示し具現化してみせるのである....(本書「第3章1節2項」より)
論 文:
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How Forests of Qualia Emerge. Signs and Society. Vol.11, No. 2. (2023)
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「始祖の痕跡 (figure) を辿る:図/地の反転、記号過程、或いは南太平洋のリアリズム」『文化人類学』84巻4号(2020)
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「Mana(交感)、儀礼、魔法のフォーミュラ:現代エコクリティシズムの所在/彼岸」『<交感>:自然・環境に呼応する心』(2017)
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「言語イデオロギーとは何か:記号論的導入」『近代言語イデオロギー論:記号の地政とメタ・コミュニケーションの社会史』(2011)
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「自然記述の多様性:ネイチャーライティングから環境文学まで」『異文化コミュニケーション学への招待』(2011)